今まで、本格的な雪道を走った経験がない人が、雪中キャンプだ!と思っても、その前にキャンプ場までの雪道をどの様に乗り切るのか、その不安で二の足を踏んでしまうことが多いのではないかと思います。
そこで、ここでは、そのような方がどのようにすれば少ないお金と手間で雪中キャンプに向かえるのか、その観点で私見を述べてみます。
レンタカーを借りる
結論から言うと、一番手っ取り早い方法は、スタッドレスタイヤオプションをつけてレンタカーを借りる方法です。レンタカー会社によってそのオプション料金は異なると思いますが、2000円程度だと思います。いちいちノーマルタイヤからスタッドレスタイヤに交換する必要もありませんし、そもそも交換タイヤとなれば、タイヤホイールとセットで買うことになるのが一般的で、タイヤの大きさにもよりますが10万円ぐらいはかかります。
更に良いのは4WD+スタッドレスオプションの車を借りることです。これは最も使い勝手が良く、そして最強です。キャンプ場にこれまで来られたお客様で、この組合わせでトラブったことを聞いたことがありません。キャンプ場内の走行も実績として問題ありません。これだと、後述のタイヤチェーンもまず使うことがないと言えます。
自分の嗜好が雪中キャンプに合っているのかどうか判断するためには最も手軽な方法だと思います。
ただし、この方法には問題が2点あります。
一つは、予めかなり前から予約しなければならないということです。積雪の状態が良さそうだと思って、明日にでも雪中キャンプに行こうと思いたち、車を借りることまではなんとかできても、スタッドレスオプションや4WDは不可といったことが考えられます。これでは意味がありません。
もう一つは、スタッドレスタイヤは、タイヤチェーン(布チェーンを除く)に敵わないということです。最悪の条件の雪道のことを考えると、スタッドレスタイヤだけでなく、タイヤチェーンも借りておく必要があります。雪国で生活している人は、通常、スタッドレスタイヤを装備したとしても、タイヤチェーンを携行します。また、大雪で交通規制がかかる場合、スタッドレスではだめでもタイヤチェーンはOKといった場合もあります。それだけ、タイヤチェーンのほうが雪道に対して信頼性が高いということだと思います。
そこまで考えると、次に述べるもう一つの方法の方が理にかなっているかもしれません。
タイヤチェーンの装着は簡単
もう一つの方法はノーマルタイヤにタイヤチェーン取り付ける方法です。
タイヤチェーンといえば、装着が面倒で、そもそも自分で装着できるか? といった不安で頭の中がいっぱいになると思います。
しかし、最近のタイヤチェーンは非常に簡単に装着できるようになってます。特に、合成ゴム・ウレタン系のタイヤチェーンは、慣れると(口笛を吹きながら←私見です)5分もあれば装着できてしまいます。
価格も1万円程度のものが結構あります。キャンプギアの一つだと考えてもそんなに高いものでもありません。ただし、通販サイトなどでは粗悪品もあるようなので、そのあたりはよく調べて購入されるのが良いと思います。
タイヤチェーンを用意して装着するだけ、最も懐に優しい方法です。
ただし、この簡単に装着できるようになったタイヤチェーンにも装着に少しコツがあります。一般的(基本形)な装着方法はインターネット上にたくさん情報があるのでそちらを参照していただくにして、ここではそれらではあまり触れられていないコツ的なことを書きます。
タイヤチェーンを装着するコツ
小型の金属製のスコップ(角型のほうが良い)を用意します。なぜ必要かというと、実際の装着現場のタイヤの下には雪があるからです。
装着動画や事前の装着練習は雪のないところになると思いますが、実際は、運転していて路肩や道路に雪が積も始めたところ、すなわち、雪のあるところに車を停めて装着することになります。この場合、タイヤが雪にめり込んでいます。そしてその雪に阻まれて、タイヤチェーンの留め金具(タイヤの外側の下)が、留め穴へ届かなくなります。
このような場合、キャンプ場に来られた多くのお客様の様子を見ていると、そのことに気づかず、強引に引っ張って留め金具を留め穴に差し込もうとしています。しかし、タイヤチェーンはほとんど伸びません。力任せに引っ張っても解決せず、時間だけが過ぎて行きます。雪が降る零下で風も吹いていれば最悪です。
そして、このことを回避するために必要なのがスコップなのです。
タイヤの下にある雪をスコップでできるだけタイヤの真下までかき出します。これで、雪に阻まれて近づけることができなかった留め金具と留め穴を近づけることができます。
手や指でもできそうに思えますが、多くは氷になりかけたような雪(冒頭の写真を参照)です、手や指でかき出すのは難しいです。そして何より、タイヤの真下近くの雪を書き出そうとすると手袋の厚みが邪魔になります。手袋を外して雪をかき出しても、かき出すのに時間がかかり、冷たさで指がしびれてきます。
なお、プラスチックのスコップは氷のようになった雪には太刀打ちできません。かき出せないだけでなく割れたりします。その意味で金属製のスコップを強くお勧めします。
もう一つは、前輪にタイヤチェーンを装着する場合に限られますが、ハンドルを回してタイヤを斜めにすることです。真っ直な状態でタイヤーチェーンを装着し、最後に付ける留め金具が留め穴に届かず留められないときに行います。
この事により、タイヤの裏側に腕が突っ込みやすくなります。また、タイヤの真下の雪もある程度こじて除けることができます。
この状態で、タイヤの裏側からタイヤチェーン動かして、留め金具と留め穴が近づくようにタイヤチェーンの収まり具合を調整しします。
この2つのコツさえ掴んでおくと、感覚的には一瞬でタイヤチェーンを装着できます。タイヤチェーンのメーカーの動画ように簡単に装着できるシーン、それを再現することができます。
タイヤチェーンの装着に事前練習は必須
初めてタイヤチェーンを装着される方は、必ず1度は事前練習することをおすすめします。コツのレベルに行く前の装着手順で頭が混乱します。この一手間をかけるだけで簡単に装着できるようになります。
事前練習されていない方の装着風景でよく見るのが、説明書とニラメッコしながらの装着です。取扱説明書を置いてタイヤチェーンの装着に集中した途端、説明書は風で彼方へ。その様にならないための事前練習です。
それでも何らかの事情でこの状況になってしまったら、車内は寒くなりますが、説明書や付属品は車内に置き、ドアを都度開け閉めして見たり使ったりするようにしましょう。
布チェーン
補足として、布チェーンの感想を述べます。
キャンプ場に来られた多くのお客様の状況を見ていると、その有効性は、
ノーマルタイヤ < 布チェーン < スタッドレスタイヤ < 金属、ゴム・ウレタン系タイヤチェーン
のように見受けられます(あくまで私見です)。
昔、布チェーンが多くの自動車メーカーの純正オプションに採用された時期がありました。しかし今は、ほとんど純正採用されていないように思います。このあたりの問題があるからなのかもしれないですね。
牽引フック
最後に、牽引フックについて述べます。
牽引フックは、雪道でトラブったときの本当の最後の砦となります。雪道装備も完璧で安全運転に徹していても、対向車が滑って近づいてきて急ハンドルで回避。そして、滑って側溝にタイヤの一つが落ちた。などというケースが考えられます。
こんなときに役立つのが牽引フックです。通常、頭をよぎるのはJAFですが、このようなときは、他の多くの車もトラブっており、なかなか来てくれません。最悪、明日になるなんてことも無きにしもあらずです。しかし、雪国に住んでいる人々はこのようなシーンに慣れています。相互扶助的な考え?から、このような状況になっている車を結構通りすがりに助けてくれたりします。牽引して側溝から脱出することをアシストしてくれたりしてくれるのです。
ところが、最近の車は、助けたくても助けられない場合があります。
それは、牽引フックを使用時に取り付けなければならない車種が増えているからです。そのことを知らないと、いざ、牽引フックはどこに付いているの? となったとき、牽引フックが「無い、無い、無い!」と顔が真っ青になったりします。
外されている牽引フックが何に使うものかわからないので、なにかのはずみに家に置いているなんてこともあります。
詳しくは車の取り扱い説明書に載っていますので、以降、簡単に説明します。
バンパーに5センチ程度の大きさの丸や四角のハメ込の蓋のようなものがついていれば、通常、そこが牽引フックの取り付け場所になります。マイナスドライバーなどでコじて開けることになります。なので、取り扱い説明書などでは、ドライバーを布でくるんでバンパーを傷つけないようにすることを推奨しています。
それを取り外すと、その中に牽引フックを取り付けるネジ穴があります。そこに牽引フックを取り付けます。
これがわかると、次に、じゃあ、牽引フックはどこにあるの? となるのですが、それは通常、予備のタイヤを収めているようなスペース、→後部荷室の床下になります。
ここで問題発生です。荷室には積み上げられたキャンプギアが!
このような事にならないように、牽引フックは、予め、ダッシュボードのグローブボックスや椅子の下に移しておくのが良いと思います。