最も豊かな表情を持っているのが夜明けです。快晴の夜明けを迎えると放射冷却により朝4時ごろから急速に気温が下がります。

 夏や遅い春または早い秋には、その時点で冷やされた空気からにじみ出てきた霧が発生します。小板集落全体を低く覆う霧で、霧の上には霧から透けて見える快晴の青空が広がっています。集落全体が白いフィルターにかかったようになり、集落の風景全体が水彩画のようなタッチに変化します。その後、水平に近い角度で差し込んでくる朝日が、霧の中で拡散し、集落のあちこちが光り輝くように見えてきます。

 また、早い春や遅い秋の放射冷却の夜明けは霜となります。牧草地や耕作放棄地の草などが真っ白に染まり今までとは別の世界の景色が現れます。その後、それが、水平に近い角度から昇る朝日に照らされたところから順に蒸発し、そこを出発点にして霧が地表近くを漂って来るのです。風の具合にもよりますが、家の屋根の上ぐらいの高さを漂う場合もあれば、山麓から里中へ地表を這ってくるときもあります。風の強さや吹く方向で、いろいろな風景が現れます。そして、その後、一斉に焚かれ始める薪ストーブの煙が合流し、油絵のような風景が現れます。

 そして、最後に残ったのが冬の放射冷却です。風景的にはある意味快晴の青空が広がっているだけです。しかし、積もった雪の表面がガシガシに固った牧草地が広がります。絶好のスノーシューハイキング日和となります。
 放射冷却とは逆に、明け方まで無風の中でしんしんと雪が降った日の朝は格別です。樹木の梢に雪が積もり、一見、樹氷のように見えます。この状態で、夜明けごろに晴れてくると、快晴の中の樹氷?が広がる小板集落が現れてきます。