日本で雪中キャンプができる場所は、南にいけばいくほど山の中になります。小板まきばの里は正にそれで、おそらく公式に雪中キャンプを認める最も南西のキャンプ場だと思われます。日本の南西の端にある中国地方で有名なスキー場に囲まれた高原にあります。
何が言いたいのかというと、雪中キャンプの天気予報の読み方は、雪山登山と同様の天気の読み方になるということです。その特徴を筆者なりの視点で語りたいと思います。
雪山登山の天気の読み込み方と同じと考えれば、登山関係の本・雑誌そしてインターネットの記事があります。これらの物はそれなりの見地で書かれています。多くの人の考えを理解することは大切です。その知識をもとにこれから書く内容を読んでいただくことをお勧めします。

山の天気と天気予報の関係は次の2つです。

  • 目的地のある地方自治体の天気予報が外れる確率が高い。
  • 天気予報では積雪量がわからない。

まず、一般の自治体単位の天気予報が外れる確率が高いことについて述べます。
理由は日本の地形と、多くの場合それに合わせて引かれた地方自治体間のの境界線にあります。地方自治体の境界線の多くは山の尾根(稜線)に沿ってひかれたものが多いです。その理由は一概にこれと言い切れるものではありませんが、多くは地方自治体の大きな役割の一つである水利事業のためです。水利事業の視点で山の尾根を見ると、街はお碗の底、尾根はお碗の淵となります。尾根が水の流れの出発点となりそれが集まり川となり街に流れ込みます。都道府県の境界は高い尾根の境界を、市町村は小さな尾根や川を境界にしている場合が多いのはそのためです。要は、尾根を境界にすることで地方自治体単位で水をコントロールしやすくしているのです。東京都があのような形になっているのは最大の水利である多摩川流域を囲む尾根伝いを他の県との境界としているためです。

そのことが天気予報とどう関係するのか、話を単純にするために二つの街(AとB)に挟まれた一つの尾根がある地形を例に説明します。通常の地方自治体単位の天気予報はそのAとBの街の天気の予報を発表します。お碗の底の天気の予報です。雪中キャンプができる場所は、尾根もしくは尾根近くにあります。お碗の底とお碗の淵では、その底と淵の標高差が大きくなるほど天気が異なってくるのは当たり前です。天気予報が外れる確率が高い理由の一つにこの街と尾根の関係があります。
もう一つは、雪中キャンプできる場所が尾根のどちら側にあるかです。Aの街側にあるかBの街側にあるかで大きく天気が異なる場合があります。Aの側にあればAの天気予報に近く、Bの側にあればBの天気予報に近づきます。

次に、天気予報では降雨量と同じように降雪量は予報されます。積雪量は雪が降っている最中はほぼそれまでの積雪量に降雪量を加えた量になり、雪が止むと天気とは別の要因で減っていきます。つまり、積雪量は実測しないとわからないということです。

以上の話を踏まえて、いよいよ本論に入りますが、一般論として説明したいため、当施設のある安芸太田町山県郡安芸太田町の小板集落を例に用いて説明します。

まず、小板集落のある安芸太田町の天気予報の観測場所は加計という街になります。小板集落は安芸太田町の北西の端にあり標高750m、加計は安芸太田町の南東で標高200mです。まさに先ほど述べた、お碗の淵にある小板集落、お碗の底にある加計、になります。
次に、お碗の淵にあたる尾根のどちらにあるかということですが、尾根の真ん中に位置します。広島県の北西部にある山塊のど真ん中にあるのが小板集落です。そのため、年間を通じて、加計の天気に近いわけでもないし、その逆の日本海側の街の天気に近いわけでもありません。ただし、ある程度の法則性はあります。冬に限定して述べると、西高東低の寒波がやってくるときは日本海側の天気に近くなり、西高東低が緩んだときは瀬戸内の天気に近くなります。

一般的に西高東低で寒くなると、太平洋側や瀬戸内側は寒いですが晴れになり日本海側は雪になります。この時参考にできる麓の街の天気予報は、島根県の吉賀(ヨシガ)町と邑南(オオナン)町となります。前者は小板集落の南西、後者は北東の方角の内陸部の街の気候になります。より距離の近い北側の浜田市、益田市のほうが参考になるように思えますが、海沿いの街の予報となるため、より地理的条件が近い町の方が参考になるようです。

雪や寒さの傾向を1週間前ほどから予測するときに参考になるのが、吉田産業海洋気象事業部が公表している週間寒気予想です。
見るのは上空1500m付近の-6℃の寒気と上空5000m付近の-30℃です。1500m付近-6℃の寒気に覆われると小板周辺の山間部は概ね雪が降ります。この時は小板まきばの里がある安芸太田町(加計)の天気予報が晴れていても、小板は雪が降っている可能性が非常に高いです。さらに5000m付近-30℃の寒気に覆われると大雪になります。これが広島市内まで覆っているようなときは市内でも雪が降ります。

降雪量については、30時間先までの降雪量の予報は、気象庁の天気分布予報・地域時系列予報で確認できます。画像上部のメニューから「3時間降雪量]を選べば、付近の5km四方の降雪量の度合いを色の濃さで表示することができます。
また、天気予報では通常観測点がある場所の予報しか確認できませんが、Windy.comというサイトでは、シミュレーションに基づく特定の地点の10日間の予報を確認できます。雪のデータがある場合は、右側のメニューに「風」や「気温」等に並んで「新雪」というメニューが表示され、降雪量の予報に切り替えることができます。

次に積雪量についてですが、積雪量は踏まれている場所/いない場所、除雪される道/されない道、日が当たる場所/当たらない場所等の条件で大きく異なります。小板まきばの里周辺の牧草地等踏まれていない場所の積雪量は、気象庁の現在の雪のページで確認できます。このページでは地図上で付近の5km四方の24時間前から現在までの積雪量の変化が確認できます。(地図上の小板まきばの里の近くに表示されている数字は、北広島町八幡の観測点の積雪量です)

また、小板まきばの里周辺の幹線道路の積雪量は、国道191号線の深入山付近に設置されているライブカメラ(標高783m)と、国道191号線の八幡に設置されているライブカメラの映像が参考になります。
さらに、小板まきばの里場内の道路や各テントサイトの積雪量については、ホームページやSNSで情報発信しますので参考にしてください。

なお、強い寒波の到来により5日以内に警報級の大雪や暴風が予想される場合は、 気象庁から「早期注意情報」が出されます。警報級の現象になりうる時間帯は当施設を閉鎖する可能性が高いので、ご注意ください。

これらの情報を総合して自分にピッタリな雪中キャンプの時期を判断してみてください。