星空観賞の勧め

街灯のない漆黒の夜空、昔はどこにでもあった懐中電灯なしでは歩けないほどの暗闇は、今や珍しいものとなりました。街中で星が見えないのは当然としても、街から遠く離れた空が広く見渡せる高原や山でも、大都会の街灯りが夜空に反射して、明るい星しか見ることができません。例えば、静岡県の富士山の西麓の高原から見る夜景は、関東平野の灯りが富士山の裾野をバックライトで照らしたような景色になります。光害と言われるもの一つです。
そんな中、上記のような光害に害されることもなく、大きく開けた空に満天の星を見ることができるのが「小板まきばの里」のある「小板集落」です。

  • 限界集落でほとんど明かりが無い。
  • キャンプ場にある灯りは、トイレと洗い場のセンサーライトのみ。
  • 低い山に囲まれた高原にあり、大きく広がる空にも関わらず、周りの山が周辺の都会の光を遮断。

これだけの条件の揃った星空観賞ができるキャンプ場は多くはありません。

さらに「小板まきばの里」は牧場に隣接しています。
牧草地に行けば、360°近くまで大きく開けた夜空の下に全く明かりが無い暗闇があります。新月の頃など、懐中電灯が無ければ1m先も見えないほどの暗闇です。そして、その暗闇で見上げる星空は圧巻です。
南の稜線から北の稜線まで繋がる天の川、その中の小さな星々までくっきりと見える満天の星空を楽しむことができます。逆説的な言い方になりますが、プラネタリウムで見た星空、それを実物として見ることができるのです。

ここから後は、そんな「小板まきばの里」で満天の星空を楽しむための星座の調べ方や、星空観賞のタイミングの狙い方をご紹介します。

暗闇に目をならす

星空観賞をするには、目を暗闇にならして小さな暗い星も見える目にする必要があります。焚火やランタン等の明るい光を見ていると目が暗闇に慣れていないため、明るい星しか見えません。空に一つ二つ星が見えたら、灯りがほとんどない状態で10分~15分くらい夜空を見続ければ、目が暗闇になれて天の川のような小さな星々も見えるようになります。

今見られる星を調べる

星や星座の名前がわかると、星空観賞はさらに楽しくなります。季節、時間でみられる星や位置はどんどん変わっていくので、あらかじめ今見られる星や星座の位置を確認して、満天の星の中からさがしてみましょう。「国立天文台」のサイトの「ほしぞら情報」 のページで、今見られる星座や惑星、月食や月と惑星の接近等の星空の見どころを確認することができます。また。「国立天文台 暦計算室」のサイトの「今日の星空のページで地点や方角、時間を選んで、その時間その場所から見える星座や惑星を表示することができます。星座を覚えるなら【星座図鑑】見つけ方や誰かに教えたくなる星の話 | Hondaキャンプ 88星座図鑑 (study-style.com)。きれいな星座の図と一緒に星や星座のいわれ等の情報がたくさん紹介されているので、きっと楽しく星座を覚えられると思います。

星空観賞に適した日を狙うには

太陽が沈んでからしばらくは空に明るさが残るので、日の入りから2時間ほど経過してからが星空観賞のゴールデンタイムです。しかし、大きな月が出ていると、月明りで明るい星以外はほとんど見えなくなってしまいます。満天の星空を楽しむには太陽が沈む時間、月の大きさ(月齢)と、月が出ている時間を調べて、星を見るのに適した日を選ぶ必要があります。

日の出入り、月齢、月の出入りを調べる

「国立天文台 暦計算室」のサイトで「各地のこよみ(表引版)」「広島県」を選んでから、目的の月のリンクを選ぶと、小板まきばの里がある広島県の日の出入りの時刻、月齢、月の出入りの時刻を調べることができます。月齢は「0」が新月、「15」が満月で、「15」に近いほど月は大きく明るくなります。

星空観賞に適した日を調べる

新月の日は一晩中月が出ないので、星空観賞には最適ですが、新月の日以外にも星空観賞に適した日と時間帯があります。新月は地球からみて太陽と月が同じ方向にある状態、満月は地球から見て太陽の反対側に月がある状態です。新月を過ぎると1日約40分づつ月が沈む時間が遅くなっていくので、星空観賞に適した時間がどんどん遅くなっていきます。逆に満月を過ぎると1日約40分づつ月が昇ってくる時間が遅くなっていくので、月が出てくるまでの時間は星空観賞をすることができます。つまり、おおざっぱにいうと、満月の4日後ぐらいから新月の4日後ぐらいまでの間は、月が昇るまでまたは月が沈んでからの時間帯に星空観賞を楽しむことができるのです。

星空観賞に適した時間帯の具体例

では、具体的に2021年8月の星空観賞に適した時間帯を調べてみましょう。以下の表は、前述の方法で調べた2021年8月の日付ごとの月齢、月の出入り、日の出入りをまとめたものです。灰色になっている時間帯は日の入から日の出までつまり夜の時間帯を表しています。「M」と表示している時間帯は月が出ている時間帯です。「〇」は日が沈んでから日付が変わるまでの星空観賞に適した時間帯を示しています。これを見ると新月の日でなくても月の半分ぐらいは星空観賞できる日があることがわかります。

雲の状態を調べるには

月が出ない時間帯でも曇り空では天の川を見ることはできません。狙った時間帯の雲の状態を調べるには、「SCW」のサイトが役に立ちます。画面左下の「予測」ボタンを選び、画面左のメニューから雲マーク(雲量メニュー)を選んでから、地図をスライドして目的とする場所を表示すると、その場所の雲の量が表示されます(画面の色が黒いほど、雲が薄いことを示しています)。画面下にある時間を進めれば、30時間後までの雲の量の予測を確認することができます。

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