雪中キャンプの方法については、いろいろな方が情報発信されているので、注意すべきポイントに絞って記載します。ポイントは、

  • 埋もれる
  • 安全
  • ぬかるむ

の3つです。これらのポイントにたいして雪国で生活されている方は日常自然に対策されています。しかし、非日常を求めて雪中キャンプをされる方にとっては、常識ではないことのほうが圧倒的に多いと思います。

埋もれる

これは新雪時に特に顕著になります。筆者の経験ですが、新雪の中で鍵を落としました。落とした場所は概ねわかっています。しかし、見つけることはできませんでした。新雪の中では浮力のないものはすぐに沈み込んで埋もれてしまいます。さらに降雪時となると、すぐにその上に雪が積もって沈み込んだ穴さえ分からなくなくなります。結局、その後暖かくなって雪が溶けだしたころに里の人が拾って持ってきてくれました。また、残雪の暖かい日に雪中キャンプをした時など、朝起きたら見知らぬペグやフックがテントの周りに複数転がっていたという経験もあります。
キャンプ場の設営や撤収の時、この問題が起こりやすくなります。その代表がペグです。もともと、お客様の忘れ物で多いのがペグなのですが、雪中キャンプでは特に多くなります。また、筆者の経験のようにポケットに入れている小さなものなども、誤って落とすとまず見つかりません。
この問題を回避する方法は概ね2つあると思われます。
一つは、シートを敷いてその上で設営機材を確認しながら設営・撤収作業をすることです。ペグなどの数が多く小さいものは特に注意が必要です。また、小さいものは腰ベルトに道具入れ用のウェストポーチを取り付け、そこに出し入れする癖付けをして作業するのも一つの方法です。手で持っていると、ついつい、バッグの上などに置いてしまうのですが、そこから滑り落ちて行方不明になったりします。
もう一つは、目立つ色のテープや紐を取り付けるということです。冬、当施設でのキャンプ場の造成は林業作業が中心となります。木を伐るときに必要な道具はかごに入れて木の周りに置くのですが、作業をしているとついつい切り株の上や倒木の上に置いたりしてしまいます。それが何かの拍子で新雪の上に落ちたとき、雪の中に埋もれて行方不明となります。そこで、目立たない色の道具には蛍光ピンクの識別テープを邪魔にならない程度に長めに結び付けました。このことにより、行方不明を大幅に削減できました。雪の中で目立つ色の物であれば、リボンでも紐でも同様の効果が得られるはずです。
また、ペグを抜くときは、抜く手順に注意することで行方不明を防ぐことができます。撤収時にペグが刺さったままでガイロープ(張り綱)だけを外してしまうと、ペグが雪に同化してどこに刺さっているかがわからなくなります。特に行方不明になりやすいのがアルミ製の無塗装のペグです。これを防ぐためにはガイロープを外すときに同時にペグを抜いて回収します。

安全

ここでのポイントは、「埋もれている」、「滑る」の二つです。

「埋もれている」は、上述の「埋もれる」の後編になります。雪の中では落としたものが立った状態で埋もれていることがあります。特に鋭くとがったものがその状態で埋もれていると雪と一緒に埋もれたものを踏んでケガをする場合があります。代表的なものが薪割時にでた木片です。ペグ等も落とした時のまま立って埋もれている場合があります。
これを防ぐにはとにかくとがったものは埋もれさせないようにすることが必要です。ペグ等のキャンプ装備は上述の「埋もれる」の対策でふせぐことができます。薪割り時に出る木片は、あらかじめ薪割り台の周辺の木片が飛び散る範囲にシートを敷いて、雪の上に飛び散らせないようにすることが基本的な対策になります。

次に「滑る」です。新雪時フカフカだった雪はその後の気温の変化に応じて溶けたり固まったりを繰り返します。溶けたところは気温が下がるとアイスバーンになり、滑りやすくなります。特に気を付けなければならないのが椅子やコットの前、ストーブの周り、テントの出入口前などの、踏み固めてしまうところ、熱で雪が溶けるところです。このようなところは朝起きたら急に滑るようになっていたということが多々あります。コットから靴を履いて立ち上がったら足が滑って転倒したなどが代表例です。この対策の基本は、滑りにくい雪用の靴を用意することです。ホームセンターで売っている普通の靴に取り付けられるスパイクを利用するという方法もあります。もう一つは、アイスバーンになりやすいところに板などを敷いて雪を踏む力を分散させてできるだけ雪が解けないようにすることです(ただし、板の上に雪が積もればかえって滑りやすくなります)。そして、何よりも重要なのは、滑ることがあるという心構えです。踏み固めた場所はしばらく経つと滑るかもしれないとの用心が重要となります。

ぬかるむ

ぬかるみの問題は二つです。上述の「安全」に通じますが、ぬかるみは凍ると強固なアイスバーンになるということです。そして、もう一つは汚れるということです。汚れることに関しては、設営された道具の下に板などを敷くことである程度回避できますが、基本は、できるだけぬかるまないようにすることがポイントとなります。

地面の黒っぽい色は雪の白色に比べて太陽の熱を多く吸収するため、雪が薄い場所は早く雪が解けて地面がむき出しになり、そこに雪解け水が供給され続けてぬかるみになります。ぬかるみにくくするにはなるべく雪が薄いところを作らないようにするのがポイントです。新雪時の設営では、設営前にテントやタープを建てる場所の雪を圧雪する必要がありますが、その場合は圧雪する範囲を必要な範囲に絞ったうえで、圧雪した雪ができるだけ厚くなるように均等に圧雪します(スノーシュー等をはいて圧雪すると効率よく圧雪することができます)。その後は「安全」のところで述べたように、よく踏むんでさらに圧雪してしまうところや熱源のところに板を敷く等して雪を解かさないようにする対策が有効になります。また、撤収時に周囲に比べて極端に雪が薄くなったところがある場合には、その部分に周りの雪をかぶせて踏んでおくとよいでしょう。